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番外編 ナオさんのお兄さん
額田さんと入れ違いに橘さんが姿を現した。あと5分早かったら会えたんだぞ。そう彼に言われた橘さんは、
「会いたくないからわざと5分遅れてきたんじゃないですか」
素っ気なく答えた。
「たく、相変わらず可愛い気がないな」
「すみませんね可愛い気がなくて」
「これが生前贈与に関する書類だ」
彼から茶封筒を渡された橘さんは、中身を一通り確認したあと、
「こんなのでいちいち悩む必要ですよ。もらえるものは素直にもらっておけばいいんですよ」
淡々とそう答えた。
「は?こっちは、未知がまた騒動に巻き込まれるんじゃぁないかって気が気じゃなかったんだぞ」
「なんの為に私がいると思っているんですか」
「えっと・・・・・子守り」
「は?」
間髪いれずそう即答され、橘さんの眉間に皺がどんどん寄っていった。
その時、太惺と心望がハイハイでひょっこりと姿を見せた。
「ママた」
二人とも大好きなママたんの姿を見付けるなり、にっこりと満面の笑みを浮かべた。
ちらちらと見える二本の前歯がなんとも愛らしい。
「2日会わなかっただけなのに・・・・どっかの誰かさんと違って可愛いものですね。たいくん、ここちゃんおいで」
二人とも競うように橘さんの膝の上によじ登っていった。
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