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番外編 金の亡者
騒ぎを聞き付けた晴くんと未来くんがバタバタと部屋に入ってきた。
「ナオパパをいじめないで!ナオパパわるくない」
一太に加勢し、声を合わせて佐原さんに言い返した。
『あぁ、忌々しいガキだ。毎回、毎回、いじめるなって五月蝿いんだよ。黙れ!喧しい!』
本当に弁護士さんなの?
信じられなくて、彼や橘さんの顔を見た。
「一応、弁護士ですよ。"悪徳"と"金の亡者"が頭に付きますけどね。彼みたいなのがいるから、真面目にヤクザのお抱え弁護士をやっている私たちまで同じ目で見られ、後ろ指を指されるんです。困ったものです」
太惺と心望を寝かし付けながら、一緒にお昼寝をしていた紗智さんと那和さんが目を擦りながら起きてきた。
気持ち良くねんねしていただけに太惺も心望もご機嫌が斜めみたいで、二人の腕の中でくずって泣いていた。
「橘さん、バトンタッチしてもいい?」
ほとほと困り果てた紗智さんからおんぶひもと太惺を渡された橘さんは慣れた手付きで背中におんぶすると、「これ以上、未知さんとナオさんを侮辱すると訴えますよ」怒気を孕んだ声で釘を刺し一方的に電話を切った。
「ままた」
泣き腫らした目を擦りながら、心望がお手手を懸命に橘さんに伸ばした。
「パパみたく焼きもちを妬かなくても、ここちゃんをだっこしてあげますよ」
那和さんの腕から心望を笑顔で抱き上げると、子守唄を口ずさみながら窓へと向かった。
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