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番外編 金の亡者
「気にすんな」
彼もどう声を掛けていいか躊躇していたみたいだった。
「ナオさん……」
怖がらせないように名前を呼んでから肩に手を静かに置いた。
「まさか一太くんに助けられるとは思わなかった」
鼻を啜りながらも、
「さすが未知と遥琉さんの子どもだね。みんなを明るい笑顔にするヒーローだね」
ようやく笑顔をみせてくれた。
その時ナオさんのスマホの着信音が鳴った。
「ねぇ、だれから?」
晴くんと未来くんが興味津々画面を覗き込んだ。
「あっ、パパだ‼」
「みく、パパとおはししたい」
二人とも我先に競うようにスマホに手を伸ばした。
「ちょっと待って二人とも。大切なお話しかも知れないから、パパが終わったら順番にお話ししようね」
「えぇ~~‼」
「やだ‼」
二人とも頬っぺをこれでもかと膨らませた。
「はれくん、みくくん、ナオさんをこまらせないの。いっしょにまってよう」
一太が二人に声を掛けてくれたお陰で少しは機嫌が直ったのかな?
四人で並んで座ってタブレットで動画を仲良く見はじめた。
『さすが一太。お兄ちゃんだな』
「さっきも助けてもらったんだよ」
『そうなのか』
「うん」
ナオさんが嬉しそうにさっきの出来事を信孝さんに伝えていた。
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