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番外編 金の亡者

「すくなくとも億単位になるかも知れません」 「億………単位………」 予想をはるかに越えた途方もない金額に僕もナオさんも茫然自失となった。 「あの、遥琉さん・・・・・」 夕御飯を食べたあと、そのままテーブルに座り、お茶を飲みながら信孝さんと橘さんと3人で険しい顔をして何やら話し込におっかなびっくり声を掛けた。 「やっぱりお邪魔みたいだからあとにする」 「邪魔じゃないよ。おいで」 椅子を手前に引いてくれた。 「あのね、遥琉さん、楮山組ってなんなのかなって・・・・・ずっと気になってて」 「あぁ、楮山組か?組長の楮山は鳥飼の舎弟だった・・・・・」 バンとドアが勢いよく開いて、フーさんが目をつり上げ、眉間に皺を寄せどかどかと入ってきた。鳥飼さんの悪口を言われているとでも思ったのか、かなり怒っていた。 「相変わらず地獄耳だなフーは。そんなにおっかない顔すんな。お前のカミさんの悪口を言うつもりは微塵もない。那和、紗智、どっちでもいいからすぐに来てくれ」 彼がすっと立ち上がって二人の名前を呼ぶと、 「呼んだバーバ?」 二人がすぐに飛んで来てくれた。 「悪いな忙しいのに。通訳を頼む」 「フー、鳥飼のことになると人格が変わるんだもの。めっちゃ、恐いんだもの」 「那和の言う通り」 二人ともびくびくしていた。 「まぁしゃあない。新婚だし多目にみてやってくれ。二人とも余計な気を遣わせてすまないな」 「ううん、大丈夫」 紗智さんと那和さんが首を横に振った。

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