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番外編 金の亡者

澄んだ空気のなかを鶯や目白の鳴き声が遠くからも近くからも聞こえていた。 みずほさんを襲撃した男が逮捕されたのはそれから2日後のことだった。 弁護士に付き添われ警察署に出頭したのだ。 「未知、大丈夫?」 「うん」 彼や、彼に付き添って警察署に赴いた橘さんや度会さんが心配で何も手に付かなかった。 「絶対言いがかりだよ」 「バーバに命じられて襲ったって、絶対嘘」 「ナオさん、紗智さん、那和さん、心配を掛けてごめんなさい」 「なんで未知が謝るの」 「そうだよ」 「マーは悪くない」 3人に励まされ、 「パパすぐかえってくるからだいじょうぶだよ」 「しんぱいしないで」 一太や遥香にも励まされてしまった。 黒竜だけじゃなく、楮山組からも目を付けられ、彼が留守の間、何かあってからでは遅いからと根岸さんと伊澤さんが駆けつけてくれた。 「兄貴が言うには初めて見る野郎だと。泥酔しているのか呂律が回らず、突然奇声を上げ暴れたと思ったら、急に大人しくなって、訳のわからないことを喚き散らしているそうだ」 「その男、クスリの常習者じゃないのか?」 「恐らく間違いない。男に付き添っていた早水って名前の弁護士もいつの間にか姿を消したらしい。鞠家と柚原が手分けしてその弁護士を探している」 庭で立ち話をしながら、辺りに鋭い視線を送った。

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