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番外編 金の亡者
「千里が見たら大喜びそうないい面構えしてやがる」
二人ともすらりと背が高くて、ダークカラーのスーツを着ていた。
写真を撮られたことに気付いたのか、鋭い照りを放つ刃のような瞳でこっちをじろりと睨み付けていた。
ただ者じゃない。
地竜さんと同じ闇に生きる男だ。
直感的に察した。
もう一方の男は、くっきりとした二重の目のはっきりとした精悍な顔立ちをしていた。
「えっと……この前……家に押し掛けてきたとき………そうだ。茶髪の若い男たちに兄貴って二人とも呼ばれていたんだっけ。確か……」
がくがくと震えながらもナオさんは懸命に言葉を紡いだ。
「ソイツラは俺の舎弟だったーーフーうるさい。今、大事な話しをしているんだ。少し黙ってくれないか?」
鳥飼さんがフーさんの手を振り切り姿を見せた。
「鳥!」
フーさんが鳥飼さんの腕を掴もうとしたら、
鳥飼さんが突然後ろを振り返り、背伸びしてつま先立ちになるとフーさんの襟元をガシッと掴み自分の方へと引き寄せ、フーさんの唇に自分の唇を強く押し当てた。
これには根岸さんと伊澤さんも面食らい、こどもたちもびっくりして目を丸くしていた。
「黙れフー。今晩、抱かせてやらねぇぞ」
現役時代を彷彿させるドスのきいた低い声にフーさん一瞬だけ固まっていたけど、すごく嬉しそうにしていた。
「止めろフー………んっ……」
フーさんの手が鳥飼さんの後頭部を支え、しっかりと腰を抱き寄せると、さっきのお返しとばかりに人目も憚らず濃厚なキスをはじめた。
「見ちゃ駄目」
慌てて那和さんとナオさんと子どもたちの目を手で隠したけど………
何せ子どもは総勢6人。
ちょこまかと動き回る下の二人に目隠しを出来るわけでもなく。
目の置き場にほとほと困り果てた。
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