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番外編 金の亡者

「まぁ、新婚だしどこで乳繰り合おうが、いちゃつこうが構わねぇけど、子どもたちの前では慎んでくれ。頼むからさぁ」 頭ごなしに怒らず、言い聞かせるように鳥飼さんとフーさんを注意した彼。 「以後気を付けます。ほら、頭を下げる」 鳥飼さんがフーさんの袖を引っ張り、一緒に頭を下げた。 警察は彼や橘さんの話しに全く耳を貸そうとはしなかったみたい。はなから彼を疑ってかかった。 でも蜂谷さんのお陰で何とか疑いが晴れて無事に帰ってこれた。 「なぁ鳥飼。二人とも舎弟だったって根岸から聞いたんだが」 「はい、その通りです。ヤクザになる理由は人それぞれ、みんな色んな事情を抱えてます」 「それもそうだな」 「目付きが鋭い方がコージ。もう片方がユズルと呼ばれていました。本名は誰も知らないと思います。面倒見てくれや、そう言って楮山が連れてきたんです」 フーさんはむすっとしながら、しっかりと聞き耳を立ててた。 「コージもユズルも自分の生い立ちや境遇に関しては一切喋りませんでした。ユズルが唯一俺に話してくれたことは、4歳年の離れた実の妹がいる。妹は小五の時、母親の内縁の夫に暴行され妊娠、ユズルはその男をボコボコにして逮捕された。ということです」 「そうか・・・・」 彼が深いため息をついた。 「オヤジ、やっぱり、この二人が関わっているんですよね?」 「恐らく間違いない」 念を押して聞いた鳥飼さんは、苦虫を潰したような表情を浮かべた。 「実は、俺が組を抜ける直前、ユズルも組を抜けているんですよ。妹のため人生をやり直したい、そう言って。それがなんでまた出戻ってきたのか」 信じられないと言わんばかりに首を横に振った。

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