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番外編 黒い刺客

「未知、ショッピングモールにみんなで出掛けるぞ。新学期に必要なものを買ってやらないと」 「呑気に出掛けている場合じゃあ」 「ここを急襲されたら、なんの罪もない隣近所の若い夫婦や子どもたちを大勢巻き込むことになる。ショッピングモールなら、人の目もある。奴等だって迂闊に手を出せないはずだ。信孝とナオにも声を掛けた」 わずか5分前に額田さんからメールが届いた。 【本日朝10時決行。強力な助っ人に感謝】 額田さんが秘書に命じ、女性の素性をあっという間に調べ上げた。 本名、藤平文乃(ふじひらふみの)。 千里さんが腕の立つ若い衆を額田さんの警備に付けてくれた。 病院からヘリを待機させてあるカルチャーパークの駐車場へ車で移動し、宮城県内の空港を経由しアメリカに脱出する予定になっていた。 礼さんは空港の近くで他の女性たちと額田さんが来るまで身を隠しながら待機。 ナオさんに会わないよう、彼なりの気遣いみたい。 信孝さんに言わせてみれば、電話でもいいから、ちゃんとナオさんに謝罪して欲しかったみたいだけど。 フーさんはすこぶる機嫌がいい。 昨夜からずっと鳥飼さんと一緒だからかな?あれほど焼きもちを妬いていたフーさんとはまるで別人のようだった。 反対にウーさんは緊張した面持ちで、若い衆にてきぱきと指示を飛ばし警護に当たっていた。 おめさんが心配だからそっちさ行く。若先生が折角電話を寄越してくれたのに。ろくに話しもせず一方的に電話を切ってしまった。

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