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番外編 黒い刺客

おもちゃ売場を目を輝かせてキョロキョロしながら見て歩いていた遥香がなにかを見付け、紗智さんの手を引っ張って陳列棚に向かった。 一太もなにかを見つけたみたいで那和さんの腕を引っ張っていった。 「別行動は駄目だってさっきも言ったろうが。たく、困ったもんだ」 「だって、そんなに高くないおもちゃだったら一個買ってやるって言われたらすごく嬉しいもの。それにおもちゃ売場には滅多に来ないから、誰だってテンション上がるよ」 「未知の言う通り、紗智や那和は子どもたちより一番喜んでいるからな。まぁ、しゃあないか」 「フーさんやウーさん、それに柚原さんや鳥飼さんが一緒だから大丈夫だよ」 かなり目立つ買い物客に、すれ違う親子連れや店員が思わず足を止め、振り返って見ていた。 「10時15分か。橘、2人から何か連絡はあったか?」 太惺を背中におんぶし、心望をベビーカーに乗せおもちゃを見ていた橘さんに声を掛けた。 「いえまだです」 鞠家さんと伊澤さんを偵察に向かわせた彼。 何かが喉に引っ掛かるんだ。きな臭い。 元デカの勘なのだろう。 自ら志願し様子を見に行った。 「鞠家さんと伊澤さん大丈夫かな?」 「2人とも長年マル暴のデカをやっていたんだ。心配する必要はない」 「それならいいんだけど………あれ?」 誰かに見られているような気がして、まわりをキョロキョロと見回した。 孫におもちゃを買って!とねだられニコニコと笑う老夫婦や、赤ちゃんを抱っこした家族連れしかいなかった。 やっぱり気のせいだったのかな? そんなことを思っていたら、ウーさんが飛んできて、僕たちを守るように前に立つと鋭い視線で遠くを睨み付けた。

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