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番外編 黒い刺客

「どうした?」 彼が怪訝そうに声を掛けると、ウーさんは何かをぼそっと口にした。 「きっと敵の気配を感じたんですよ」 すぐにその場から移動し、子どもたちと合流し、ナオさん家族とも合流した。 「おぃ、すげえぞ!」 スマホの画面を見ていた若者が大きな声を突然上げた。 「映画の撮影…………な訳ねぇか」 「これってさぁ、カルパの通りだよな」 「こんな田舎でカーチェイス?マジかよ」 若者の声に買い物客も足を止め、みんな食い入るようにスマホの画面に釘付けになり騒然となった。 「カルパ?」 「カルチャーパークの略称ですよ。いまの若いかたはなんでも短くしますからね」 「SNSとYou Tube、みんなどっち見てんだ?」 「さぁどっちでしょうね」 「じゃあ俺SNS。You Tubeはいまいち分からないから任せた」 「は?」 仲良く口喧嘩をしながら彼と橘さんがスマホをポケットから取り出して、片手で操作をはじめた。 「未知見てみろ」 彼に言われ画面を覗き込むと、映画さながに繰り広げれるカーチェイスの模様が次から次にSNSに投稿され大騒ぎになっていた。 回りを田んぼに囲まれた4車線の直線道路を猛スピードで一目散に逃げる白いワンボックスカー。それを猛追する二台の黒いセダン。その後ろを何台ものパトカーがサイレンをけたたましく鳴らしながら追い掛けていた。 「運転しているの高行さんじゃないよね?違うよね?」 紗智さんが急にがたがたと震えだした。

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