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番外編 黒い刺客

「昇龍会の若い連中はみな千里を神として崇め、崇拝していますからね。千里のためなら命など惜しくないんですよ」 「じゃあ、運転しているのは別のひと?本当に?嘘じゃない?」 「嘘ついてどうするんですか。貴方のバーバが鞠家さんを今まで危険な目に遭わましたか?まぁ多少無理はさせましたが、無茶はさせなかったはずです」 橘さんに諭されて、ようやく紗智さんは落ち着きを取り戻したのか、胸を撫で下ろし、しきりに良かったと繰り返していた。 「遥琉、誤解される前に言っておきますが、千里は夫以外の男性の前で服を脱いだりしていませんかね。あぁ見えて中身は純粋な乙女なんですから」 「は?誰が純粋な乙女だって?」 一瞬耳を疑った彼。 「千里って今年で確か・・・・・」 「遥琉、それ以上口にしたら千里に首を絞められますよ」 二人がそんな会話で盛り上がっていたら、 「おぃおぃ、互いの亭主とカミさんがいる前で痴話喧嘩をはじめるな。たく、相変わらず仲がいいな」 信孝さん苦笑いして呆れ返っていた。 そんなとき、聞き慣れない着信音が辺りに鳴り響いた。

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