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番外編 黒い刺客
猛追する黒いセダンを何とか振り切り、ウィンカーも出さずに強引に右折すると、後ろのタイヤから白い煙を上げながら猛スピードでカルチャーパークの駐車場へと突っ込んで行った。
「20日までカルチャーパークは冬期休業中なので一般人を巻き込むことはありません。それにドンパチがはじまってもまわりが田んぼなので人様に迷惑を掛けることもありません」
「なるほどな。だから、そこを選んだのか」
「だと思います。ヘリの回りは、命知らずな猛者がぐるりと取り囲んでいます。皆が崇拝する組長から直々にあとのことは任せろ。命に変えても女たちを守ってくれと頼まれれば、俄然やる気にもなります」
意味深な笑みを浮かべる橘さんに、
「お前といい、千里といい何を考えているかたまに分からなくなるからな。おっかなねぇよ」
彼、顔をひきつらせびびっていた。
「ナオパパだいじょうぶ?」
晴くんと未来くんがつま先立ちになり、心配そうにナオさんの顔を覗き込んでいた。
「うん、大丈夫だよ。ごめんね、心配掛けて」
ーー信孝さんにうんと可愛がってもらって、目一杯愛してもらうよ。
血が繋がっていなくても、あなたは私の自慢の弟よ。ありがとうナオーー
額田さんが最後に言い残した言葉に感極まり涙ぐんでいた。
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