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番外編 黒い刺客
「菱沼組の組長がここにいるって聞いてきたんだが・・・・」
信孝さんを見下すように冷笑しながら、とげとげしい口調で恰幅の良い男性が口を開いた。
「先生がわざわざ聞いてるんだ。黙ってないでさっさと答えんか‼」
スキンヘッドの男が脅し付けるように声を張り上げた。
「目上の人に対してその言い方はないだろう」
柚原さんが逆に睨み返すと、佐原さんはバカにするようにゲラゲラと笑い出した。
「テメエみたいなゲスに用ねぇ。邪魔だ‼どけ‼」
弁護士とは到底思えないドスの聞いた声で怒鳴り付けた。
「おぃ、まずは名を名乗れ。それが礼儀ってもんだろう」
怒りに任せ相手に掴み掛かろうとした柚原さんを彼が止めた。
「相手の思う壺だ。耐えろ」
「オヤジ・・・・・」
彼の言葉に柚原さんははっとし、振り上げていた拳を静かに下ろした。
「俺が菱沼組組長の卯月だ」
「ほぅ~~あんたがか?」
男が目を丸くして彼の顔を凝視した。
「おぃユズル‼話しが違うじゃねぇか!」
男が不機嫌そうに声を張り上げた。
「知らん」
鳥飼さんとフーさんと互いに牽制し合いながら対峙していたユズルという人が初めて口を開いた。
「たく、どいつもこいつも口だけは一丁前の役立たずの能なしばっかだな」
ブツブツと文句を口にしながらも、
「弁護士の佐原だ」
ようやく名前を名乗った。
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