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番外編 黒い刺客

「負け犬ほどよく吠えるってよくいったもんだ。他所の縄張りでキャンキャン五月蝿いんだよ。頭が痛くなるだろうが。野良犬共は大人しく飼い主のところに帰れってな。久し振りだな未知。元気そうで良かった」 若い衆のあとに続いてエレベーターを下りてきたのは無精髭を生やし、煙草の代わりなのかな?爪楊枝を口にくわえた40才過ぎの中年の男性だった。 へ? 誰この人? 全然知らない男性に声を掛けられ、目をパチパチさせながらきょとんとしてしまった。 「お知り合いですか?」 橘さんに怪訝そうに声を掛けられ、ぶんぶんと首を横に振った。 「失礼ですが、どちら様ですか?」 警戒心を露にする橘さんに対し男性は、 「自己紹介はあとだ。卯月は恐らく丸腰だろう。腕の立つ玉よけが3人いても、カタギがいるんじゃあ圧倒的に不利だ。未知、旦那を連れてくるから、動かずにここで待ってろ。悪いが若いのを3人ばっか借りるぞ」 男性はウーさんにお役目ご苦労さんと声を掛けると若い衆を3人適当に指名して駐車場へと向かった。 「橘さん、相手はヤクザだよ。どうしよう」 「よほど犬死にしたいバカか、それともーー」 そこで言葉を止めるとしばらく考え込んだ。 男性が誰なのか、もしかして心当たりがあるのかな?

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