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番外編 黒い刺客
「おぃ佐原!喜べ。恐喝罪で逮捕状が出たぞ」
「あ?」
男の声色がガラリと変わった。
「冗談も休み休み言え。俺を誰だと思ってんだ」
鼻先でせせら笑った。
「なぁお巡りさんよ、義妹の額田みずほは、そこにいる縣と卯月のボンクラ共に、福光尚也の件を世間にバラすぞと脅迫され、礼に生前贈与の書類を書かせたんだ。逮捕すべきはこの二人じゃないのか?ユズル、時間の無駄だ。帰るぞ」
有りもしないことを並べ立てて、平然と車に戻ろうとした。
でもーー
「なぁ、佐原。被害届を出したのは額田みずほだけじゃないぞ」
「は?」
寝耳に水だったのだろう。
足が止まった。
「すっかり言い忘れるところだった。ユズル
朗報だ。お前にも強要罪と脅迫罪で逮捕状が出たぞ。楮山のところで、せいぜい首を洗って待ってろ」
ユズルという男は眉一つ変えなかった。
目の前にいるかつて兄貴と敬い慕った鳥飼さんのあまりの変わりように絶望したのか、はたまた呆れたのか、気が狂ったように突然、ケラケラと笑い出した。
「ケツ穴にチン◯突っ込まれてオンナに成り下がったという噂は本当だったんだ。アンタに憧れていた自分が馬鹿だったよ。あぁ、ヘドが出る」
侮辱する言葉を吐き捨てた。
鳥飼さんはフーさんの袖をギュッと握り締めひたすら耐えていた。
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