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番外編 最善の余慶
恥ずかしくて身の置き場に困るとはまさにこの通りで。
彼の腕の中でモジモジしていたら、
「未知寒くなかったか?」
彼が毛布を肩に掛けてくれた。
「ベビハルがさっきからぽこぽこと腹を元気に蹴ってるんだ。逆子・・・・だっけ?生まれる頃まで戻っているといいな。どうした?元気がないぞ」
おっきな手が髪を撫でてくれた。
「橘さん紗智さん那和さんに、子どもたちのお世話、また押し付けちゃった。寝てる場合じゃないのに」
「この前の検診のときに南先生が言っていただろう。予定日より早く産まれるかも知れないって。足だって負荷がかかって浮腫んでいるんだろう?頼むから無理をしないでくれ」
彼の顔を上目遣いに見るとにこっと優しい微笑みが返ってきた。
「赤ん坊の名前は決まったのか?」
「あぁ。太陽の『陽』と『葵』で、“ひまり“と呼ぶらしい。千里が名付け親だ」
「あの女組長か?今も根強いファンがいるんだろう」
「どっかの熱心なファンが女組長のファンクラブを立ち上げたらしい」
「どっかのって、二人しかいねぇだろう」
「そうだな」
度会さんと惣一郎さんが顔を見合わせるなりクククと笑い出した。
「そういえば遥琉、あの話し未知にしたのか?」
度会さんに声を掛けられた彼の肩がぴくっと微かに震えのが分かった。
「どうせ黙っていたってすぐバレるんだ。ちゃんと話してやれ」
「ねぇ遥琉さん、なんのこと?」
服をツンツンと軽く引っ張った。
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