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番外編 最善の余慶

「ねぇ遥琉さん、なんでここ?」 「橘が常に目を光らせているんだ。未知と二人きりになれる場所っていったらここしかないだろう」 チャポンとお湯が跳ねた。 「重いから」 彼の膝の上から下りようとしたら、 「久し振りの二人きりだ。重いわけないだろう」 お腹をそろりと撫でられた。 「ちょっと遥琉さん」 「ん?何だ?」 「そこはお腹じゃないよ」 下腹の辺りを彼の手が触れてきた。 普通に触る分にはいいんだけど、なんか、触り方がエッチというか、いやらしいというか。 ボソボソと低い声で何かを口にすると、はぁ~~と深いため息をついて、肩を落とした。 「遥琉・・・・・さん?」 「何でもない。一人言だ」 苦笑いを浮かべると、ぎゅっとお腹を労るように優しく抱き締められた。 そのとき腰に熱くて固いものが触れた。 「どうした未知?顔が赤いぞ」 「ううん、なんでもない」 エヘヘと笑って誤魔化して。 平静を装った。 「それはそうと話しってなぁに?」 「実はな、彩からの手紙が弁護士を通じて届いた。ほら前に手紙を書いただろう?」 「手紙・・・・・って?」 「あぁ、そうだった。記憶がなかったときのこと何も覚えていなかったんだよな」 うん、こくりと頷くと、 「橘が手紙の内容を覚えているはずだ。あとで聞くといい」

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