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番外編 最善の余慶
「あっ!パパずるい!」
「ハルちゃんもママとぽちゃぽちゃはいる」
ガラリと勢いよく戸が開いて一太と遥香がひょっこりと顔を出した。
太惺と心望もハイハイで二人のあとを追い掛けてきた。
「たいくんも、ここちゃんもずるいって」
「おぃ待て。定員オーバーだ。橘!ヘルプ!」
彼が慌てて声を上げた。
でもそんなのはお構いなしの子どもたち。
あっという間に服を床に脱ぎ捨てると、
「たいくん、ここちゃんバンザイだよ」
「ぽちゃぽちゃはいるよ」
一太と遥香で手分けして太惺と心望の服もぽんぽんと脱がせると、四人仲良く浴室に乱入してきた。
「あ"~~~ぁ!」
彼の悲鳴が虚しく天井にこだました。
「唯一二人きりになれる場所だったのに………てか、よい子はもう寝る時間だろう」
「いちたねむくない」
「ハルちゃんも」
「ほらみんなからだをあらうよ」
一太がベビー用のボディーソープのポンプをぎゅーと両手で押し、たっぷりの泡を掌に取ると、慣れた手付きで妹や弟たちの体を泡だらけにして洗いはじめた。
「夜行性なのはきっとパパに似たんですよ。一太くん、さすがお兄ちゃんですね。パパより洗うの上手ですよ」
「ほんとに?」
「えぇ」
バスタオルを手に携え橘さんが様子を見に来てくれた。
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