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番外編 最善の余慶
「たいくん、パパ、ないてるよ。おにいちゃんっておいで」
一太が両手を差し出すと、太惺は嬉しそうににこっと笑って、お手手を伸ばした。
「ハルちゃんも、あといっかいジャンプしたらおわりね」
「え~~!もっとピョンピョンしたい!」
「あのね、ハルちゃん。もしわるいひとがきたら、パパ、やられちゃうよ。それでもいいの?」
「それはやだ」
「ならおにいちゃんのいうこと、きいてくれる?」
「うん、わかった」
「ハルちゃんえらいよ」
一太が遥香を誉めて頭をいっぱい撫でてくれた。
「遥琉、一太くんはあなたよりずっと大人ですね」
「どうせ俺はまだガキですよ」
すっかりふて腐れへそを曲げてしまった彼に、一太がパパもえらいよ、そう言って頭を撫でてくれた。
太惺もお兄ちゃんの真似をして、彼の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
すると彼の機嫌があっという間に直ってしまった。
「やっと寝てくれた………疲れた」
「もっとパパと遊びたい!」「ねんね嫌!」
駄々を捏ねる子どもたちをなんとか宥めて、寝かし付けてくれた彼。
そのまま布団にゴロンと横になった。
「これぐらいで根を上げてどうするんですか?」
最後の最後までぐすって泣いていた心望を横に抱っこしゆらゆらと静かに揺すぶりながら寝かし付けてくれた橘さんが寝室に戻ってきた。柚原さんも一緒だ。
「お前が留守をしていても、優璃や一太が毎日頑張ってくれている。だから、安心してお前は組を守れ」
「柚原すまない」
「可愛げのないお前と違って子どもたちはその10倍は素直で可愛いからな」
「分かっていることをいちいち言わんでいい」
耳の痛いことを言われ苦笑いを浮かべていた。
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