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番外編 一太、おめでとう

一太が指折り数えて待っていた小学校の入学式当日の朝を迎えた。 一太の晴れ姿を一目見ようと、お義父さんとお祖父ちゃんが昨夜東京から新幹線で駆け付けてくれた。 惣一郎さんと和江さんは午後から来てくれることになっている。 「じゃあ、いってきます」 真新しいスーツに身を包み、ランドセルを背負うと弾けるような笑顔を振り撒き、みんなに手を振った。 「泣くな親父」 「だってあんなに小さかった一太が小学生になるんだ。これほど嬉しいものはないだろう」 昔気質で厳格なお義父さんが一太の成長を誰よりも喜び、そして一番泣いていた。 お義父さんにつられて若い衆のみんなも嬉し涙を流していた。 「未知大丈夫か?」 お腹を擦っていたら彼が心配して声を掛けてくれた。 ベビハルにポコポコと元気いっぱいお腹を蹴られるたび、圧迫するようにキューッと痛くなって、立っていられなくて玄関に座り込んだ。 「お腹の張りは一時的なものです。しばらくしたら落ち着くと思いますよ」 太惺をおんぶしスーツに割烹着姿の橘さんが様子を見に来てくれた。 遥香と心望は広間で紗智さんと那和さんに遊んでもらっている。 「一生に一度きりの晴れの日です。遅刻させるわけにもいきませんから、先に行っててください。未知さんの体調が落ち着いたら、柚原さんか鞠家さんに学校まで送ってもらいますから」 「そうか」 ちらちらと心配そうに何度も視線を送ってくれた。 「ごめんね、遥琉さん」 「いちいち謝る必要はない。まだまだ時間はあるから、ゆっくり休んでから来たらいい」 「うん、ありがとう」

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