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番外編 一太、おめでとう

「弁護士だとは到底思えない格好だな」 「でもこれが自分に一番似合う格好ですから」 太惺のお尻をぽんぽんと優しく叩きながら、橘さんが答えた。 「正義は金で買えると豪語するどっかの悪徳弁護士とはえらい違いだ。たいくん、おっきいじぃじだぞ」 お祖父ちゃんが太惺の顔を覗き込むと、上下二本の前歯を見せ、声を立てて笑いだした。 「笑った顔がパパの小さい頃にそっくりだ。たいくん、じぃじだぞ」 お義父ちゃんも負けじと太惺に笑顔で話し掛けた。 『たいくん、ここちゃんのとりあいしないの!』 『たいくん、ここちゃんはみんなのだよ』 昨夜、ここに到着するなりどっちが先に抱っこするか口喧嘩をはじめた二人。 お酒が入っていたからかな? いつもはこんなことないのに。 彼が止める前に一太が二人の間に入って仲裁してくれた。 『さすが一年生』 『お兄ちゃんだな』 言われて一番嬉しいことを二人のじぃじに言われ、一太は恥ずかしそうにはにかみながら照れ笑いしていた。 「遥琉、念のためフーとウーを連れていけ」 鞠家さんが慌てて奥から姿を現した。 ままごと遊びの相手をさせられているのかな?鞠家さんもエプロン姿でお玉を手に握り締めていた。 「弾よけは運転手だけで充分だ」 「なんか嫌な予感がするんだ」 「その格好じゃあ、説得力がないぞ鞠家」 ぷぷと彼が吹き出した。

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