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番外編 一太、おめでとう
男たちの顔を瞬時に確認したフーさんが、ウーさんに何かを目で指示した。
「マー、柚原(ヨウ ヨウ ユェン)」
ウーさんが校舎の中を指差した。
早く中に入るようにとでも言ってるのかな?
「未知行くぞ」
「あ、はい」
柚原さんに促され、一緒に昇降口に入り靴を履き替えた。
「一見すると日本人に見えるが、あいつら中国人だ。ウーがシァン ハァィ トンバオって言っていただろう?シァン ハァィは上海。トンバオとは中国語で同胞という意味だ。男たちの首筋や手首に刺青があった」
柚原さんも彼同様勘が鋭いし、眼力も桁違いだ。
恐妻家というのはあくまで世間の目を欺くための仮の姿なのかも知れない。
「頼むからあまり見詰めないでくれ。オヤジに半殺しにされる」
「そういう意味で見ていたんじゃなくて・・・・・柚原さんって本当に恐妻家なのかなって・・・・・あの、決して悪い意味じゃなくて・・・・」
自分で何を言っているのか分からなくなってきた。
「優璃にプロポーズして尻に敷かれる。恐妻家になる。甘えん坊でたまに駄々っ子になる。長年の夢がようやく叶ったんだ。やっと手にした幸せをそう簡単に手放すわけにはいかない。俺にとって優璃は最高で最愛の妻だ」
柚原さんは照れながらも嬉しそうに顔を輝かせ息を弾ませた。
その直後だった。
きゃーーっ‼
恐怖のあまり何かが裂けるような叫び声が一斉に聞こえてきたのは。
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