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番外編 一太、おめでとう

「雲行きが怪しいな」 さっきまで雲ひとつない快晴だったのに。彼に言われて窓越しに空を見上げると急速に雲が集まりはじめていた。 安全が確認されるまで教室で待機になり、先生がいい機会だからと黒板に「いかのおすし」のポスターを貼り、 「いいですか゛イカ゛は行かない」一生懸命説明をはじめた。 でもーー すっかり仲良くなった隣の子との話しに夢中になり全く聞いていない子。 ぶらぶらと足を振りキョロキョロとよそ見する子。 後ろを向いて保護者に手を振る子。 ちゃんと前を向いて聞いている子は数えるくらいしかいなかった。 「未知、気のせいか?みんなこっちを見ているような・・・・・」 「え?そうかな」 顔をあげると何人かの子どもたちと目が合った。 みんな目を耀かせ彼を羨望の眼差しで見詰めていた。 「せんせい、いちたくんのパパがいるからだいじょうぶだよ」 「いちたくんのパパ、すっごくつよいんだよ」 「わるいひと、やっつけてくれるからだいじょうぶ」 顔を紅潮させみんな興奮していた。 「嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか」 まんざらでもないのか照れ笑いを浮かべて頭を掻いていた。 一太はクラスのみんなに「いいなぁ~~いちたくんは」を連発され恥ずかしそうにモジモジしていた。

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