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番外編 一太、おめでとう

ねぇ遥琉さん。家業がヤクザだってクラスのみんなには内緒のはずじゃあ・・・・・ 一太の為にも何がなんでも自営業で押し通すって。 あれ?僕の聞き間違い? 「内緒にするもなにも、菱沼組の関係者がこの小学校に入学するって、まことしかに噂されていたらしい。岳温泉に引っ越す前に通っていた幼稚園の保護者がちらほらいたし、隠し通すことは無理だと諦めた。でも、いいんじゃねぇか、別に悪いことをしている訳じゃないんだから、一太を守れるのは親である俺と未知しかない。そう腹を括ればどうにかなる。そうだろう?」 彼の言う通りだ。 「それもそうですね」 ちょっとやそっとじゃあ動じなさそうな先生も子どもたちの鋭いツッコミに苦笑いするしかなかった。 「おっ、放送が入った。保護者は体育館に移動だって。未知、ゆっくり休みながら行こうか?」 「うん、ありがとう」 僕のことを変な目で見ないようになのかな、彼がじろりと回りに睨みをきかせていた。 ただでさえ顔が怖いのに。 余計に怖がらせるだけだよ遥琉さん。 くすりと笑うと、 「俺は何を言われても別に構わない。でも、何も知らない癖に見た目だけで判断して未知や子どもたちのことを悪く言うヤツは絶対に許したくないんだ」 落ち着いた、低い調子の声が返ってきて、男らしい精悍な顔にどきっとして思わず見惚れてしまった。 「ん?どうした?俺の顔に何か付いているか?」 「ううん、何でもない」 慌てて目を逸らしブンブンと首を横に振った。

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