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番外編 一太、おめでとう

校長先生のお話しや来賓として呼ばれた市長代理、市議会議員、PTA会長の祝辞が長すぎてとっくの昔に飽きていた子どもたち。隣の子とお喋りしたりあちこちキョロキョロとよそ見ばかりしてなかなか集合写真を撮れず写真業者の人たちもほとほと困り果てていた。 そんな時。 体育館の外で柚原さんと待機していたフーさんとウーさんがぬっと子どもたちの前に音もなく静かに姿を現したものだからみんな腰を抜かすくらいビックリした。 2メートルはゆうに越える大男を間近で見るのなんて滅多にないもの。 無理はない。 しかも笑いもせず無表情の二人にじろりと見下ろされ、場が一瞬で静まり返ってしまった。 フーさんとウーさんはそんなことをさほど気にも留めず子どもたちと保護者の前に立つと、コインを一枚取りだし上に高く投げると、何やら手品をはじめた。 子どもたちは興味津々。 目をまんまるくしてフーさんとウーさんに注目した。 「ぼぉっとするな。今のうちに写真を撮れ」 彼に言われ写真業者の人が慌ててシャッターを連続で切っていた。 「よし終了!一太もみんなよく頑張ったな。偉いぞ」 彼が一太とすぐ近くにいた子どもたちの頭を笑顔で撫でてくれた。 そしてくるっと後ろを向くと赤ちゃんをおんぶした女性に、 「ぐずる赤ん坊をあやしながら大変だっただろう。早くオムツを交換してやれ」 そう声を掛けて、 「児童と妊婦と赤ん坊連れは優先的に先に通してやってくれ」 ここでも持ち前のリーダーシップを遺憾なく発揮し、大きな混乱を招くことなく、2組の集合写真撮影は無事に終了した。

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