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番外編 一太、おめでとう

「のっぽのおじちゃん!」 子どもたちがフーさんとウーさんに我先にと駆け寄っていった。 「おじちゃんじゃねぇぞ。お兄ちゃんだぞ。学校で飴ちゃんを配るわけにはいかないから、鶴の折り紙で勘弁な。もらった子は教室に戻る」 彼が代わりに説明し、色とりどりの小さな小さな鶴の折り紙をみんなに配ってくれた。 「これからPTAの役員決めがあるらしいから一太と先に教室に戻ってろ」 そう言われ一太の手を握り先にクラスに戻った。 「あ?川合?」 入学式を終え度会さんの家に急いで向っていたら弓削さんから電話があった。 「知ってるも何も彩の弁護人だ」 みるみる彼の眉間に皺が寄っていった。 「あの……遥琉さん……」 不機嫌そうな表情を浮かべぶちっと電話を切った彼におっかなびっくり声を掛けた。 「どうしたの?」 「彩の弁護人がガラの悪そうな男達を従え事務所に乗り込んで来た」 「それってもしかして……」 「あぁ、恐らく楮山組の連中だろう」 はぁ~と深くため息をつくと、疲れて眠ってしまった一太の髪を優しく撫でてくれた。 「たく、今度は誰だ」 鳴りやまない着信音に苛立ちながらスマホを耳にあてがった。 さっきとは違い今度は神妙な面持ちで話しに聞き入っていた。 「……そうか、分かった」 静かな口調で電話の相手に短く答えるとすぐに電話を切り、今度は片手で操作し始めた。 「千ちゃんファンクラブの発起人の一人からだ。どんだけ調べても分からなかったカレンと安井カオルの繋がりがようやく掴めたそうだ。ウ―、事務所に着いたら根岸と伊澤と一緒に急いで旦那のところへ向え」 助手席に座っていたウ―さんの顔色が変わった。

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