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番外編 薄墨の女
「僕は遥琉さんを信じる」
「パパがうそつない。いちた、わかってるよ」
「ハルちゃんも‼」
「未知、一太、遥香ありがとうな。パパ嬉しいよ」
強張っていた彼の表情が緩んだ。
「バーバ、マーと相思相愛」
「浮気したら橘に殺される」
「それで済むならな・・・・・マジで怖いんだぞ」
「言わなくても知ってる。ね、紗智」
「うん。橘さん、最強だもの。たいくん、ここちゃん、ぱぱたんを助けに行こうか?」
「ままたんの邪魔して、今頃、みっちり怒られてるよ」
紗智さんと那和さんが、クスクスと笑いながら眠たそうに目を擦る太惺と心望を横に抱っこしあやしながら連れて行ってくれた。
「あ、そうだ。すっかり忘れていたんだが、バォ ブォ ムォ ・・・・・あと何だっけ?ニュだっけ?鞠家、どういう意味だ?川合がそう言っていたんだ」
「薄墨の女だ。恐らくカオルのことだろう。でも、案外自分を卑下した言葉かも知れない」
「あんだけ派手なのにか?」
「人は見かけによらないってよくいうだろう」
二人がそんな会話をしている一方で、弓削さんの話題で持ちきりになっていた。
若い衆がこぞって川合さんの美貌に釘付けになりメロメロになっていたにも関わらず弓削さんは眉一つ変えず淡々としていた。
こいつは女狐だ。目覚ませ。若い衆を叱りつけ、川合さんに、お前みたいな醜女に興味はない。人様の迷惑だ。と無表情で追い払ったみたいで、弓削さんって好きなひといるのかしらね?言われてみれば浮いた話を聞いたことないわ。そんな感じで盛り上がっていた。
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