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番外編 哀しき邂逅
「姿かたちはかなり変わっていたが、あれは間違いなく炎竜(イェンソン)だった。儂の目に狂いはない」
「お祖父ちゃん、炎竜って・・・・・誰?」
どこかで聞いたことのあるような気がしたけど思い出すことが出来なかった。
思い出そうとすればするほど胸が締め付けられるくらい苦しくなった。
「そのときの記憶がないんだったな。ごめんな未知」
朝早くから通学路に立ち子どもたちの見守り活動をしていたご近所さんにばったりと出会い、コンビニエンスストアーのイートインコーナーでお茶飲みをしていたお祖父ちゃんたち。
すぐ近くにある別のコンビニエンスストアーで酔っ払いが騒いでいると聞き付け、弓削さんらが着く前に駆け付けたみたいだった。
「かつて地竜《ディノン》の右腕だった男だ」
「姐さんを撃った男の仲間だ。煙に巻かれるように消えやがった。次に会ったら絶対に半殺しにしてやると思っていたんだが・・・・髪はボサボサ。着ている服もぼろぼろで、中国語でわめき散らしながら、ゴミ箱を漁り食べ物を探していた」
弓削さんが姿を見せた。
「酒に酔ったんじゃない。おそらくアレは薬物中毒だ。男は注意した店員や通行人に腹を立てて、意味不明な奇声をあげ隠し持っていたサバイバルナイフを振り回した。ちょうどそこに遥琉たちが合流したって訳だ」
「え?遥琉さんが?」
キョロキョロと辺りを見回し彼の姿を探したけれどどこにもいなかった。
「弓削、お前の愛おしい姐さんは誰からも愛されるからな。焼きもちを妬ききれないな」
お祖父ちゃんが意味深な笑みを浮かべた。
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