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番外編 哀しき邂逅
「恋敵が一人いなくなって万々歳だったのに、残念だったな弓削」
お義父さんもニヤニヤと笑いながら姿を見せた。
「播本さん、卯月さん、もう勘弁してください」
二人に冷やかされ、弓削さん顔を真っ赤にしていた。
三人の会話から、鈍感な僕でも何となくだけど、ぴんときた。
「あの………もしかして………」
でも、どう聞いていいか言葉が見付からなくて、首を傾げながら唇をぎゅっと結んだ。
「炎竜が暴走するのを止められなかった責任は自分にある。決着をつけるためにヤツは炎竜を必死で捜していたそうだ。そうだろう地竜?」
お祖父ちゃんがドアに向かって声を掛けた。
「今さら恥ずかしがってどうする」
カタンとドアが開いて彼の声が聞こえてきた。
「ダオレンや炎竜に引導を渡すまで、未知に絶対に会わないと決めたんだ」
「それなら聞くが、なんで弾よけもつけず、たった一人で外をうろついていたんだ?未知に会いたかったんだろう?一太や子どもたちに会いたかったんだろう?違うか?」
彼に矢継ぎ早に質問を投げ掛けられ、観念したかのようにゆっくりと姿を現した。
記憶を失っていた約3ヶ月の間の記憶はない。
でも、彼やみんなが一丸となって僕を支えてくれたこと。
子どもたちも記憶を取り戻せるようビデオレターを作ってくれたこと。
それだけは不思議と覚えてて。
もちろん彼のことも。
こんな何の取り柄もない僕を守るために、自分の片腕ともいえるフーさんとウーさんを寄越してくれたんだもの。
感謝しなきゃバチがあたるもの。
「……良かった。無事で……」
彼に焼きもちを妬かれないかヒヤヒヤしながら声をかけた。
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