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番外編 パンドラの箱に最後に残るのは

「ただ単なる親子喧嘩ってことは………つまり、翡翠(フェイツィ)か紅宝石(ホンパオシー)のどっちかが紫竜(ズーノン)なのか?」 「あぁ」 地竜さんはそれ以上の明言を避けた。 「それが黒い箱(ヘイ シィァン)なのか?」 「いや・・・・・」 地竜さんが言葉を濁らせた。 「クローン人間の研究をする過程でリーは郊外の別々の地区から拐ってきた2人の子どもを実験台にし、必要じゃないのに、違法に入手したある連続殺人鬼の心臓をそれぞれ移植した。臓器提供者の記憶が新たなドナーへと引き継がれるケースがあると耳にしたんだろう。忠実な僕となり邪魔者を抹殺する殺し屋へと育て上げようとした」 ちらっと襖の向こう側に目を向けた。 「それがフーさんと、ウーさん?」 あまりの衝撃的な事実に声が震えた。 「いや違う」 地竜さんが首を横に振った。 「未知、恐らくウーとカレンだ。度会さんがカレンの命が危ないって言ってただろう?証拠隠滅のため連中はカレンに狙いを定めた、そんなところか?」 「さすがだな。その通りだ。面倒をみていたリーの愛人がカレンを研究所からひそかに連れ出し姿を消した。リーは血眼になってカレンの消息を探したが結局見付けることが出来なかった。フーも実験台として拐われてきたが、心臓に先天性の病気が見付かり、小間使いとしてウーの世話もするようになった」

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