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番外編 パンドラの箱に最後に残るのは

「骗人‼」 「我被他骗了‼」 早口で捲し立てる苛立った声が聞こえてきて地竜さんが意を決したようにすっと立ち上がった。 「紫竜(ズーノン)と決着を付けたら二人にちゃんと話すつもりでいた。嘘つき、騙していたのか、気が済むまで罵倒したらいい。俺が全部悪いんだ」 「おぃ待て!」 「フー!」 ウーさんと鞠家さんの制止を振り切り怒り心頭の様子でフーさんが部屋にどかどかと入ってくると地竜さんの胸倉に掴み掛かった。 「喧嘩は他所でしろ!やっと寝かし付けたんだ。子どもたちを起こしたらただじゃおかねぇぞ」 彼が声を荒げた。 「フー、地竜を責めるのはお門違いだ。それはお前自身が一番分かっているはずだ」 鞠家さんが必死で宥めた。 「フー、鞠家の言う通りだ。怒りの矛先を向ける相手が違うだろう」 あとを追い掛けてきた鳥飼さんが、握り拳を振り上げたフーさんの左手首を爪先立ちになり懸命に掴もうとした。でも身長差がありすぎてなかなか手が届かない。 フーさんが堪えきれずププと笑いだした。 「チビで悪かったな」 「カワイイ」 「だからみんなの前で言うなって。恥ずかしくて外歩けないだろう。まずは手を離す。それからオヤジと姐さんと地竜にごめんって謝る」 日本語が通じないフーさんはそれからもカワイイを連呼していた。鳥飼さんは耳まで真っ赤にし鞠家さんに笑ってないで早く通訳してくれと頼み込んでいた。

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