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番外編 ほんとうはバーバとマーの子どもとして産まれたかった

お祖父ちゃんたちと慌ただしく登校して行った一太を見送り、警察署に事情を説明しに向かった斉木先生親子を見送り、ようやく僕たちも幼稚園に向かうことになった。 「遅刻常習者だったからな。悪いところは似なくて欲しいんだが……困ったもんだ」 ため息をつきながら頭をくしゃくしゃと掻いていると、 「バーバ、帰ったら話しある」 思い詰めたような暗い表情を浮かべる紗智さんに声を掛けられた。 「どうした?どこか具合でも悪いのか?」 「昨日の夜、マーの部屋に行ったきり高行さんが戻ってこなくて。心配した。やっと帰ってきても全然目を合わせてくれないし溜め息ばっかついて。俺、鈍感だけど、高行さんが何か隠しているのすぐ分かった。だから問い詰めた」 紗智さんの声は動揺し震えていた。 「そうか・・・・ごめんな」 彼は全てを悟り頭を垂れた。 「何でバーバが謝るの?バーバ悪くない」 そこで言葉を一旦止めると、 「那和が実の弟だと知って涙が出るくらい嬉しかった。でもね、本音はね、リーの子どもじゃなくて、マーとバーバの子どもとして生まれてきたかった」 悔しそうに上唇を噛み締めた。 「紗智さん」 頬を濡らす涙を親指の腹でそっと拭うと「マー」涙を流し声を震わせて子どものように泣き出した。 「誰がなんと言おうが紗智さんも那和さんも僕の可愛い子どもだよ。一太と遥香と太惺と心望とおんなじくらい大切でかけがえのない家族だよ」 背中を擦りながら宥めていると、鞠家さんがあたふたしたながらすっ飛んできた。

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