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番外編 本当はバーバとマーの子どもとして産まれたかった

「足元に気を付けろ。ゆっくりでいいからな」 「マー、ユックリ」 彼とウーさんが先に車から下りて、下りるときに体を支えてくれた。 「スゲー見られているような……気のせい……じゃねぇな。地竜の回りにはどうしてこうも変り者が多いんだ」 「おはようございます!」 遥香は迎えてくれた園長先生に挨拶をしていた。 小さい頃からおしゃべりが好きだった遥香。特に挨拶は大好きだった。きちんと挨拶すると褒められることが判っていて、得意になって挨拶をしていた。 「遥香ちゃん、大きな声でご挨拶が出来るのね。偉いわね」 「はい‼」 褒められるのが今も嬉しいみたいで、大威張りで返事をしていた。 「えっと・・・・・」 園長先生が地竜さんの顔を不思議そうに眺めた。 「そういゃあ、会うの初めてだったな」 彼が説明しに向かおうとしたら、 「ハルちゃんのおじちゃんだよ。ママのおなかにひまちゃんいるからきてくれたんだ」 「そうなの。良かったわね」 しっかりと受け答えが出来る遥香に回りにいた大人たちが逆に驚いていた。 僕たちも園長先生に挨拶をして入園式が行われる2階のホールへと向かった。 階段を上りふと足を止める地竜さん。頭を動かさず横目で窓から眼下に見える駐車場をチラッと見た。 「どうした?」 「ウーが無事か確認したかっただけだ」 ぼそっと呟くと、スボンのポケットに片手を突っ込んだ。 「どういう意味だ?」 「そのまんまの意味だ。芫にとってウーの体は最高の芸術作品らしい。漆黒の艶やかな髪も白い肌もハリのある健康的な爪もすべてが清らかで美しい。だから何としてでもウーを中国に連れ帰ると勝手に付いてきたんだ」

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