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番外編 本当はバーバとマーの子どもに産まれたかった

何はともあれ、無事に入園式は終わりーー ホールでクラスごとに集まり写真撮影をしてから一階のさくら組に移動した。 「一太のときは20人いたのに。14人か?まぁ、園児が少ない方が先生の目も行き届くからよしとしよう」 「うん」 恥ずかしがってもじもじと手わすらして、なかなか自分の名前が言えない子どもたち。後ろに立つ保護者が代わりに自己紹介するなかで遥香は、 「うづきはるかです。さんさいです」 すっと立ち上がると背筋をピンと伸ばし、恥ずかしがることも、緊張することもなく堂々と答えた。 「毎日若い衆が挨拶をするのを見ているんだろう。立派だ」 「当たり前だ。俺と未知の自慢の娘だ」 「それを言うなら、《《俺と未知と地竜の》》、だろ?ハルちゃんは俺の娘でもある」 何人かの保護者が驚いたような顔で2度、3度と僕たちの方を振り返って見ていた。 「頼むから誤解を招くような言動は控えてくれ」 「どうしようかな?卯月を構っていると楽しいんだよね」 「あのな……」 地竜さんはいつになく上機嫌だった。 そのあと園庭で園舎や遊具をバックに写真を何枚も撮影した。 遥香だけ。 一人ずつ交代して遥香と。 最後に先生に頼んで、遥香を真ん中に彼と地竜さんと4人で並んで記念に2枚撮影してもらった。 「ど~れ、帰るか」 ビシッと襟をただす地竜さん。 「大丈夫だ。逃げはしない。正々堂々と二人に殴られに行くから安心しろ」 地竜さんがそう言ってスマホを耳にあてがった。

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