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番外編 你不打我吗?
「地竜。いつまで黙っているつもりだ。自分だけ真実を知らないことがどんだけ辛いか、お前なら分かるはずだ。ワンにちゃんと真実を伝えてやれ。芫もそれを望んでいる」
「大丈夫か?」
彼が気遣うように声を掛けてくれて、手をぎゅっと優しく握り締めてくれた。
「うん、大丈夫」
頷くと、安心したのか微笑んでくれた。
紗智さんと那和さんも、いままで地竜さんが存在自体をひた隠しにしていたワンさんをわざわざ日本に連れてきたということは、もしかしたら自分たちの兄弟なのかも知れない。二人ともそう感じていたみたいだった。
「俺がさっき、卯月に言ったのは、今、ワンに必要なのは家族だ。長い間ずっと軟禁状態だったワンは、カラダは年相応でも、ココロは一太くらいの年で成長が止まったままだ。読み書きも、数を数えるのも出来ない。だから、このまま兄弟がいる日本で暮らすことは出来ないか、考えてくれと頼んだ」
「ボスはいつでもワンに優しい。でも、それがどれだけ残酷かーーボス、少しは男心学んだほうがいい」
芫さんが真顔でぼそぼそと呟いた。
しかも何か丸いものをポケットから取り出したものだから、
「芫、ちょっと待て!」
いつも冷静沈着な地竜さんが急に慌てはじめた。その額からは冷や汗が噴き出していた。
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