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番外編 地竜さんとワンさん

お祖父ちゃん(おじいちゃん)お義父さん(お父さん)」 「お、未知」 玄関に向かうと、二本松へ帰る惣一郎さんと和江さんを見送り、駅に向かったはずのお祖父ちゃんとお義父さんが立っていたからびっくりした。 「いゃあ、帰る前に弓削や根岸、それに伊澤らとたまにはゆっくり話しがしたくて組事務所に寄ったんだ。そしたら、弓削の知り合いのタクシーの運転手から連絡があったんだよ。若い中国人をインター近くのコンビニで乗せたんだが、【ヒシヌマ】ってしか言わない。言葉が通じなくて困ってるってな。そいつもしかしたらワンじゃねぇかって弓削に話しをした」 「恐らく金は持っていないがナイフと銃は所持している。礼儀知らずの威勢だけはいい男だ。人様に迷惑を掛ける前に、組事務所まで連れてくるように頼んだ」 お祖父ちゃんとお義父さんが後ろをチラッと振り返った。 「姐さんに指一本でも触れてみろ。ただじゃおかねぇぞ」 怒り心頭の様子の弓削さんがワンさんの首根っこをがしりと掴み引き摺ってきた。さっきまでスーツを着ていたのにTシャツとジーンズというラフな格好だった。 「姐さんは俺達の大事な姐さんなんだ。逆恨みするなどふてぃ野郎だ。地竜の手下じゃなかったら、今ごろ半殺しにされていたぞ。本当にコイツ、紗智と那和の兄弟なのか?」 「はい。でも僕も詳しいことまでは………」 「たく、コイツの飼い主は一体何を考えているんだ。全く分からない」 渋々ながらも手を離してくれた。 「服を全部脱がせて物騒なものを所持していないか徹底的に調べて、ナイフや銃、すべて取り上げた」 「何もそこまでしなくても」 「姐さんを守るのが俺達の役目だ」 弓削さんにはっきりと言われ何も言い返すことが出来なかった。

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