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番外編 地竜さんとワンさん
「いちたとハルちゃんね、ディノンさんからワンさんとあそんでってたのまれたんだよ。だから、いちたとハルちゃんでワンのおせわする」
「いいか一太、コイツはママの命を狙ってんだぞ。そんなヤツを側に置いておくことなんて出来ない。そうだろう?」
弓削さんに何を言われても一太は首を縦に振らなかった。
ワンさんは辺りをキョロキョロと見回していた。誰かを探しているみたいだった。
「橘と柚原を探しているんだろう。あんだけ昼飯を食ったのに、一太と遥香と遊んだらお腹が空いたって言い出して、帰り際、橘がお握りを作ってワンに持たせたんだよ。柚原は弓削と違って優しくて面倒みがいいからな」
彼が鞠家さんに通訳を頼み、一太の言葉を伝えると、二人のもとにハイハイで這って行こうとしたけど弓削さんにまた捕まった。
「一太、ワン、この続きは明日だ。もう遅いから寝ろ。明日、起きれなくて遅刻したら大変だ」
ワンさんを抱き起こすと片手で軽々と抱き上げて肩に担いだ。
足をばたつかせ抵抗するも有無を言わさずそのまま連れて行ってしまった。
「ちょっと弓削さん!」
「少しくらい話をさせてくれたっていいのに!」
紗智さんと那和さんがそれぞれ不満を口にした。
兄弟の名乗りも自己紹介もまだしていないのに。弓削さん、2人がかわいそうだよ。
一太と遥香もブスっとして臍を曲げてしまい、機嫌を直すのが大変だった。
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