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番外編 鶴首

長い指が弓削さんの頤を感触を確かめるようにソロリと撫でた。 ぞくぞくとした寒気にブルッと肩を震わす弓削さん。 手で払い除けようとしたら、グイと頤を掬いあげられ、自分より長身の芫さんに顔を覗き込まれる形になった。 反射的に逃げようとしたけど片方の腕が腰にしっかりと絡み付いてきて逃げる間もなかった。 ワンさんがひと言口にし額に手を置いて深いため息を付いた。 「紗智さん、ワンさん何て?」 「芫の悪い病気はじまったって」 「どういうこと?」 「よく分からない」 弓削さんと見詰める合うこと数分。 「同じナンバー2同士仲良くしないか?」 予想もしていなかったまさかのひと言に弓削さんの表情が凍り付いた。 反応を楽しむかのようにクスリと苦笑ぎみに笑うと、突然弓削さんの唇に自分の唇を重ね、そのまま深く貪るような濃厚で淫猥なキスを仕掛けた。 これには回りにいた誰もが唖然となり、茫然となった。 「ちょっと!芫!子どもの前だよ!」 ハイハイで逃げる太惺と心望を後ろから追い掛けてきた那和さんが声を張り上げた。 「今何て言った?」 帰ってきた彼に芫さんがいの一番に伝えたこと。それは……… 「弓削が気に入ったからしばらくここにいるって?」 鳩が豆鉄砲を食ったようにポカーンとしていた。

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