1195 / 4007
番外編 鶴首
「キスの相性がいい。きっと身体も極上だ……オレ好みにボティメイクしたい」
「お前の飼い主がお前が変態だって言った意味、やっと分かったような気がした。芫、お前もフーと同じで強い男が好きなんだろう?」
「少し違う。強くて美しくてカリスマ性のある男だ。ユゲはそれにピタリと当てはまる」
しれっとして悪びれる様子もなく答える芫さんに彼は早くもお手上げ状態になっていた。
弓削さんのところに戻ろうとしたら、ユゲはオレの。邪魔だ。芫さんにしっしと手を振られ、そのまま座敷から追い出されたワンさん。
肩を落とし縁側から空をぼんやりと眺めていた。
見るに見かねて声を掛けようとしたら、
「ワンさんめっけ!」
園カバンを背負い水色の遊び着を着た遥香がドタバタと元気に駆けてきた。
よほどワンさんと遊びたかったみたいで、ぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねていた。
少し遅れて一太も合流した。
「二人ともワンは逃げねぇから、まずはランドセルとカバンを部屋に置いてこい。遥香は着替えもだ」
彼が二人のあとを追い掛けてきた。
「ワン、お前は一人じゃないぞ。俺や橘、鞠家、柚原がいる」
「オレ……?タ・チ・バ・ナ……?マ・リ・ヤ……?ユ・ズ・ハ・ラ……?」
「鞠家は紗智の旦那で、柚原は橘の旦那だ。と言っても日本語が分からないんだったな。二人とも中国語を話せるし、面倒見もいい。愛妻家だから芫もそう簡単には手を出すことはない……とは思うが………」
不思議そうに首を傾げるワンさん。
そこへ鞠家さんが助っ人に駆け付けてくれた。
ともだちにシェアしよう!

