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番外編 鶴首

「一度狙った獲物は逃がさない。ウーの言う通りだ。芫はストーカーよりたちが悪い。しかしまぁ、お前のボスのまわりには変わり者がやたらと多いな。神と崇め崇拝する連中も多い。焼きもちを妬ききれないだろう?」 俺が鞠家だ。昨日いたのか柚原だ。 義兄なんだ。敬語はなしだ。 中国語で短く自己紹介すると、よしよしとあやすように頭を撫でた。 「地竜はある意味すごい。そういう連中を上手く纏めているんだから。リーダシップもカリスマ性も生まれ持った才能なんだろうな」 「遥琉、お前だってスゴい。地竜に負けていない。ワンも紗智と那和みたく、いつか遥琉をバーバと呼ぶ日が来るだろう。その日のために今から新しい名前を考えてやれ」 「は?これ以上でっかい子どもはいらないぞ」 「まぁそう冷たいことを言うな」 彼と鞠家さんのやり取りをワンさんはきょとんとして眺めていた。 いつかじゃない。 きっとその日が来るよ。 やっと兄弟に会えたんだもの。 このままずっとずっと二人の側にいてほしい。

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