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番外編 鶴首
地竜さんが帰るとき翡翠の守り石を返したワンさん。もう二度とあなたのもとには戻らない、目がそう物語っていた。
「あのワンさん………」
声を掛けてもぷいと顔を逸らされるし、話し掛けようとしても無視されるし。
ちょっとじゃない。かなり嫌われている。
テレビの幼児番組を見ながら機嫌良く体を左右に振る太惺と心望を眺めながら、お腹にそっと手をあてた。
ぽこぽこと今日も元気に陽葵がお腹を蹴っている。
言葉の壁はあるけど、僕だってワンさんと仲良くなりたいんだよ。
ねぇ陽葵、ママどうしたらいいんだろう。
出てくるのはため息ばかり。
「ワンさんがいままでどういう人生を歩いてきたかーーまずは芫さんに聞いてみたらどうですか?。何かヒントが見付かるかも知れませんよ」
橘さんがテーブルの上におやつの野菜スティックとマグカップが乗ったトレイを静かに置いた。
「芫さんは弓削さんLOVEですから、弓削さんの頼みなら喜んで聞くはずです」
「あ、でも………」
「紗智さんや那和さんに聞かれてもワンさんは自分の過去について一切話そうとはしないそうです。私から頼んだ方が手っ取り早いですね」
「お願いしてもいいですか?」
「えぇもちろんです。たいくん、ここちゃんおやつですよ」
橘さんが2人の名前を呼ぶとにっこりと笑って、
「まま~たぁ~」
とハイハイで駆け寄ってきた。
たっちも伝え歩きも上手になった。
昨日は出来なかったことが出来たりと、日々成長している。
はじめの一歩が怖いのかなかなか前に進まないけど、こればかりは焦ってもしょうがない。気長に待っていればそのうち歩けるようになる。
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