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番外編 鶴首
芫さんが来ましたよ。橘さんに呼ばれ客間に向かうと、弓削さんの膝を枕代わりにして横になっていた。
体をお腹の方に向けて嬉しそうにシャツに頬擦りをしていた。
弓削さんはされるがまま。
止めろと言っても素直に言うことを聞く相手じゃない。一筋縄ではいかない。だから潔く諦めたって彼が言っていた。
芫さんはその男気にますます惚れ込んだみたいで、結果的に火に油を注ぐことになってしまったみたいだった。
「髪・・・・・切ったんですね?」
「伸ばす必要がなくなっただけだ。きみのマーはとにかく怖いな。卯月より怖い。たかが弁護士。オレ甘くみていた」
「嫌だって即答したら、みっちり叱られていた。橘は法律のプロだ。敵うわけがない」
弓削さんが芫さんに前を向け。姐さんに挨拶をしろと命じると素直に応じた。
「そんな挨拶の仕方はねぇだろう」
「念願の膝枕だ。堪能させろ」
「あのな・・・・・」
やれやれとため息をつきながら、
「姐さんすみません」
軽く頭を下げた。
でもそれが芫さんにとっては面白くなかったみたいで、むすっとして弓削さん睨み付けた。
「姐さんがいるからオヤジも俺も幹部連中も仕事に集中出来るんだ。オヤジを本気で怒らせる気か?姐さんを慕ってる若い衆をみんな敵に回すことになるぞ?それでもいいのか?」
低くドスのきいた声が辺りに響いた。
ぶるっと肩を震わせると芫さんがひとこと。悪かったって。
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