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番外編 スペア

玩偶はスペアだ。芫さんがぼそっと呟いた。 どう意味なのか分からなくて首を傾げると、 「紫竜に臓器と骨髄を提供するために玩偶は作られた。肺、肝臓、膵臓・・・・・」 腕を高く掲げると服の上からその部分を指でなぞった。 「玩偶は人形の意味だ。存在する意義はない。利用価値がなくなれば用済み。消される」 他人事のように淡々と言葉を続けた。 「羨ましいだよ。手下だったフーとウーが、自分より先に幸せになったのが、面白くないんだよ。素直じゃないからな。玩偶もユゲも」 「俺?」 「そっ、俺。ユゲ、いい加減諦めて、オレに抱かれろ。嫁に貰ってやるって言ってんだ。素直に応じろ」 「恥ずかしいからそれ以上は言うじゃねぇ。姐さんに失礼だ」 滅多なことでは動揺しない弓削さんが珍しく動揺していた。 「だからか地竜が明言を避けたのは」 彼が客間に入ってきた。 「ワンは翡翠であり紅宝石でもある。そういうことか?」 「察しがいいな。流石だ。褒めてやる」 「お前に褒められても嬉しくねぇ。芫、仕事の邪魔をするな。弓削は忙がしいんだ」 二人の前で立ち止まると芫さんを鋭い眼差しで見下ろした。 「紫竜は一体何者なんだ?」 「シァオチャオーー道化師だ。本当の正体を知るのは一握りの人間。以外と近くにいるかもな」 挑発するように、くくくと意味深な笑みを浮かべた。

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