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番外編 スペア

浴室の脱衣所から真っ裸で脱兎の如くハイハイで逃げ出した太惺と心望を歩いて追い掛けていたら、いつもなら躓かないちょっとした段差に躓き転びそうになった。 「○▼×◇■!」 寸でのところでワンさんに助けて貰い事なきを得た。 「ありがとう」 いつものようにぷいとそっぽを向かれたけど、恥ずかしそうに目を伏せて、ツンツンと手にしていたバスタオルを引っ張られた。 「もしかして代わりに追いかけてくれるの?二人とも服を着たくなくていつもあぁやって逃げ回ってるの。お願いしてもいい?」 こくりと頷くとバスタオルを握り締め嬉しそうに二人のあとを追い掛けていった。 「ママ‼きるのないよ!」 脱衣所から今度は一太と心望の声が聞こえてきた。 急ぎ足で戻ると服が散乱し、足の踏み場もなかった。 犯人は恐らく悪戯大好きのたいくんとここちゃんだ。 構ってもらいたくてわざと怒られるようなことばかりしている。 「マー、散らかしたのはワンだよ。たいくんとここちゃんの真似をわざとしたんだよ」 紗智さんと那和さんがしゃがみこんで服を片付けはじめた。 「ワンも本当は構ってもらいたいんだよ。一太くん、ハルちゃん、パジャマあったよ」 「ありがとう、ななちゃん」 那和さんに濡れた髪を拭いてもらい、一太も遥香も寒いと震えながら急いで服を着はじめた。 「今頃、ワンは、ままたんに捕まってるかも」 「め、されてるよ」 悪気があった訳じゃない。 ただ構って欲しかっただけ。 二人に子ども達を頼み、3人を探しに向かった。

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