1213 / 3283
番外編 酔生夢死
両手で顔を覆い「 对不起(ドゥイブーチー)(ごめんなさい)」何度も言いながらワンさんがその場に崩れ落ちた。
「那和さん、急いで未知さんを部屋に」
紫さんがすぐに来てくれた。
「僕は大丈夫です」
そのあとすぐ大きなくしゃみが出た。
「どこが大丈夫なの?一人の体じゃないのよ。那和さん早く!」
「マーまずは着替え」那和さんに静かに背中を押された。
「ワンさんをほっとけない」
ぶんぶんと首を横に振った。
「ワンには紗智が付いてる。大丈夫」
「でも・・・・・」
後ろ髪を引かれる思いで何度も後ろを振り返りながら部屋に向かった。
「ワンを中国に返せ‼」
「芫もだ‼」
ワンさんや芫さんを快く思わない若い衆が大声を張り上げているのが聞こえてきた。
「ワンさんは寂しいだけ。甘えたいだけなんだよ。本当は優しい子なのに。どうしたらみんなに分かってもらえるかな?」
「僕も紗智もマーと同じ気持ち。迷惑ばかり掛けてごめんね。本当は中国に帰りたくないのに、強がってばっかり。喧嘩腰で。話しも聞こうとしない」
那和さんが複雑な胸の内を明かしてくれた。
急いで着替えをしてワンさんのところへ戻ろうとしたけど、柚原さんに遊んでもらっていた太惺と心望に見付かりそれどころではなくなってしまった。
オムツを交換し、手を洗いおやつを食べさせていると、彼と橘さんがワンさんを連れてきてくれた。
ともだちにシェアしよう!