1214 / 3283
番外編 酔生夢死
「 对不起(ドゥイブーチー)……ゴメン……サナイ」
ワンさんが深々と頭を下げた。
「立って謝るヤツがどこにいるんだ」
彼がワンさんを叱り付けると、ビクビクしながら慌ててその場に正座した。
「日本語と座り方が上手になってきましたね」
「橘、褒めなくていい」
「あれ?ワンは無限の可能性を秘めている。褒めればヤツは今よりもっと伸びる、そう言ったのはどこの誰かさんでしたっけ?私の聞き間違いですか?」
耳の痛いことを言われ苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる彼。
口ではなんだかんだいいながらも、誰よりもワンさんのことを大事に想ってくれていたんだ。
ありがとう遥琉さん。
「未知に見詰められたら恥ずかしくてどこをみていいか分からなくなるだろう」
困ったように苦笑いされてしまった。
「そんなつもりじゃあ・・・・・」
「じゃあどういうつもりだよ」
「もぅ、遥琉さんの意地悪」
頬っぺたをこれでもかと膨らませ睨み付けると、ぷぷぷとワンさんが口元を手で押さえ吹き出した。
「マーとバーバ、相変わらずラブラブだね」
「ここちゃんとたいくんのことを忘れてますよ。まぁ、いつものことですけれどね」
抱っこをせがむ太惺を那和さんが、心望を橘さんがそれぞれあやしながら抱き上げてくれた。
「ジウ、アリ・・・・・ガ・・・・・ト」
ワンさんが片言の日本語でそう言うと頭を下げた。
「名前を付けてくれたのは根岸さんだよ。ありがとうは僕じゃなく根岸さんに。顔は怖いけどすごく優しいから」
ワンさんが大きく頷いた。
ともだちにシェアしよう!