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番外編酔生夢死

あれほど天気が良かったのに午後になり雲が急速に集まってきた。 「変な天気だね」 ナオさんが外に干していた洗濯物を大急ぎで取り込んでいると、曇天の空からぱらぱらと氷の小さな塊が降ってきた。 「降水確率0%のはずなのに・・・・雹が降るなんて聞いてないよ」 「手伝うよ」 紗智さんと那和さんが外に飛び出した。 「ねぇ、ナオ、那和、サイレンの音聞こえない?」 「え?そうかな?」 「気のせいじゃないの?」 紗智さんに言われて耳を澄ませると微かだけどサイレンの音が聞こえていた。 組事務所や関連企業には彼やジウさん、根岸さんや弓削さんがいる。 何事もなければいいんだけど。 胸騒ぎがして、スマホをポケットから取り出し彼に電話を掛けてみた。 でも何度掛けても話し中で繋がらなかった。 洗濯物を脇に抱えながらナオさんも信孝さんに電話を掛けたみたいで、繋がらないのか心配そうに画面を見詰めていた。 「ナオさん、大丈夫?」 ほっとけなくて思わず声を掛けた。 「うん。未知の方こそ大変なのに、心配してくれてありがとう」 「悩みや心配事があるなら相談に乗るよ」 「ちょっと……じゃないか、頼りにはならないけど俺もいる」 「僕も」 紗智さんと那和さんも洗濯物を畳みながら声を掛けた。 「みんなありがとう。卯月さんや度会さんには彼の方から相談はしているんだけどね」 そこで一旦言葉を止めると、はぁ~と深いため息をついた。

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