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番外編酔生夢死

「ママ、パパけがしてる」 「パパいたい、いたいって」 一太と遥香が彼を連れてきてくれた。 ジウさんも一緒だ。 「遥琉さん大丈夫?」 ゆっくり立ち上がり歩み寄った。 右手の掌から手首にかけて包帯がぐるぐると巻かれてあった。 「急いで上澤先生の診療所に行かなきゃ」 「こんなのかすり傷だ。心配ない」 「でも………」 「本当に大丈夫だ。心配を掛けてすまない」 痛がる素振りを見せず気丈にも笑顔を見せてくれた。 「10日前だ。匿名の何者かによって、掲示板やSNSに勝手にナオや子どもたちの実名、住所、電話番号などの個人情報が書き込まれているのを、別の事件で掲示板を調べていた蜂谷が偶然見付けたんだ。個人情報のネット晒しの行為は立派な犯罪だ」 一太と遥香に、パパは大丈夫だ。晴くんと未来くんと仲良く遊んでこいと頭を撫でながら言うと、2人は笑顔で隣のリビングへと走っていった。 「ジウ、お前も一緒に遊んできていいぞ」 彼の許可が下りてジウさんも2人の後を追い掛けていった。 「蜂谷さんが念の為、猪……さんだっけ?あれ違う。名前なんだっけ?」 「猪爪だ」 「あ、そうだ!猪爪さんだ。子たちに名前を聞かれて猪さんだよって答えていたから………彼を連れてきてくれたんだ。調べてもらったら台所とリビングとそれに・・・・寝室から盗聴器が見付かったんだ」 ナオさんがそのときのことを思い出したのだろう。カタカタと小刻みに震えだした。

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