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番外編 酔生夢死
なんだジウも混ざりたいのか?彼の問い掛けに大きく頷き、一太と一緒にジウさんも宝物探しをはじめた。
「橘、すぐ近くに蜂谷はいるか?」
彼がスマホを耳にあてがった。
「盗撮のカメラが見付かった。蜂谷にこっちに来れるか聞いて欲しい」
ー分かりましたー
電話越しに聞こえてくる大好きなままたんの声にいち早く反応したのは心望だった。
にこっと笑うとスマホ目掛けてハイハイで駆けてきた。
「ままた、ままた」
スマホを取ろうと必死に手を伸ばした。
ーここちゃん、ままたんの声が分かったんですね。偉いですねー
褒められてキャキャと声を上げた。
ご機嫌だ。
気付けば太惺も彼の足元にいた。
さすが双子。やることなすことすべて同じだ。切羽詰まった状況だからこそ、2人の愛くるしい姿にほっと癒される。
ー蜂谷さんかそっちに向かうそうですー
「ダオレンがどこに潜んでいるか分からないんだ。念のためフーとウーを護衛につけてくれ」
ーそのウーさんですがマーが危ない。血相を変えて飛び出して行ったんです。柚原さんがあとを追っていきましたから、2人ともそろそろそちらに着く頃ですよー
「そうか」
ちょうどその時、ピンポンと呼び鈴が鳴った。
「根岸悪いがモニターを見てくれ」
彼の目付きがガラリと変わった。
勘の鋭い彼のことだから何かを察したみたいだった。
「帽子を目深く被っているのでツラは分かりませんが、ピザの宅配みたいです」
ナオさんが「頼んでないよ」首を横に振った。
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