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番外編 酔生夢死

「公私共に?」 信孝さんが不思議そうに首を傾げた。しばらくの間考え込んだのち、ようやく意味を理解したみたいで、 「おぃ蜂谷、聞いてないぞ。そうか、それは良かったな。おめでとう」 バンバンと肩を叩いた。 「痛いよ。本気で叩くヤツがあるか。少しは手加減しろ」 「だってお前らのことが心配でならなかったんだ。しょうがないだろう」 信孝さんの目には光るものが輝いていた。 「たく、泣くヤツがいるか」 「そういう遥琉だって泣いているだろうが」 「目にゴミが入っただけだ。泣く訳ないだろう」 彼と信孝さんのやり取りを見ていた蜂谷さんが「本当にお前ら相変わらず仲がいいな。カミさんに焼きもち妬かれても知らないぞ」ぷぷと吹き出した。 白い手袋を手に嵌め、監視カメラが隠されていた場所を一つずつ確認し、慎重に外していく蜂谷さん。 「はちやさん、すごいね」 「うん。はっちゃん、カッコいい!」 「がんばれー」 子供たちの熱い視線と、熱のこもった応援に照れながらも黙々と作業を進めていた。 「どうしたの?」 突然動きが止まった蜂谷さんの顔を心配そうに一太と晴くんが覗き込んだ。 「一太、晴くん、大至急パパと、根岸さんを呼んできてくれないか?」 その声は緊張で強張っていた。 「うん、わかった‼」 「ちょっとまってて‼」 二人はすぐに駆け出した。 「未知、ナオ、紗智、那和、あと・・・・ジウだっけ?子ども達が近付かないようにしっかり見ててくれ」 そう言いながらスマホを耳にあてた。

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